対話型組織開発で学んだ「オープン・フラット・ハート」の大切さ
2021年7月9日
カテゴリー: 組織育成コラム
2021年6月20日と27日の2日間にわたり「対話型組織開発を学ぶ」講座を受講しました。
組織開発は専門領域ではありますが、改めて基礎から学び直したいなと考えていたので、まさにベストタイミング!
この手の講座は道外へ遠征しないと受講できないケースが多かったですが、オンライン講座が普及したことで受講しやすくなったこともありがたかったです。
いち早く「キャリアトランプ®KITAIカード」を体験
この講座では、この秋リリース予定の「キャリアトランプ®KITAIカード」を先行体験できたり、甲南大学 経営学部教授 北居 明先生の実践的なお話を聞けたりと非常に充実していましたが、グループワークでの学びがとても深く、印象に残っています。
特にグループワーク中に出てきた「オープン・フラット・ハート」という考え方は、どの組織でも必要なキーワードになると確信しました。
そこで本記事では、グループワークでの気づき・発見をシェアしながら、対話型組織開発について整理します。
対話型組織開発とは
組織開発とは、ものすごく平たく表現すると「組織をより良くしていく活動」で、診断型組織開発と対話型組織開発の2つのアプローチがあります。
診断型組織開発は、客観的な視点で正しい分析をしていくアプローチで、現状を正しく理解し、目指すゴールとのギャップを埋めていくものです。
そのために必要なデータを収集し、分析をしたうえで問題にフォーカスし、その問題をどのように解決していくか考えていきます。
一方、対話型組織開発は、対話を通じてお互いの価値観やバックグラウンド、想いなどを理解し合ったうえで、未来を描き、その未来を実現するためにできる行動を考えていくのが特徴です。
問題の原因を追究するのではなく、「どんな時にうまくいったのか?」「うまくいっていることは何か?」「もう少しでうまくいきそうなことは何か?」と対話しながら可能性をみつけていきます。
私はこの講座で学んだのは、1980年代にクーパーライダー氏が提唱した「Appreciative Inqiry」(アプレシエィティブ インクイリー)で、強みを発見するアプローチで組織変革に繋げる方法でした。
再びものすごく平たく表現すると、
「みんなで自分たちの良いところを探そう」
「そしてそれを伸ばしていこう」
というアプローチです。
診断型組織開発が効果的に働く場面ももちろん多いですが、どうしても問題追及からのアプローチになりやすく、組織内に相互不信や対立が生まれることもあります。
そのような場合は、対話型組織開発が有効かもしれません。
対話を重ねることで、思考も広がりやすく強みや可能性の発見に繋がるので、チームワークを醸成しやすくなるからです。
ポジティブ・コア・カルチャーが組織の肝
Appreciative Inqiryには「4Dサイクル」と呼ばれるサイクルがあります。
【1D】Discovery(ディスカバリー):過去の経験から強み、価値観を発見する 【2D】Dream(ドリーム):理想の未来を描く、ビジョンを明確にする 【3D】Design(デザイン):理想の未来を実現するための組織像を描く 【4D】Destiny(ディスティニー):具体的なアクションを考える |
どんな組織を作っていきたいか、戦略テーマを決めた後に、過去の成功体験を探り、理想の未来を語り、未来を実現するための組織の在り方を考え、最後に具体的なアクションを考えていくのです。
このサイクルの中で、特に印象に残っているのが、Discoveryのプロセスで考えた「ポジティブ・コア・カルチャー」でした。
ポジティブ・コア・カルチャーとは、その組織の核となる前向きな文化のことで、その組織の行動規範となります。
今回は組織内での取り組みではないため、立場も所属もバラバラ、私のように組織に属していない人もいるグループでポジティブ・コア・カルチャーを考えましたが、不思議と本当の組織のように対話が進んだんですよね。
色々な表現が出た中で、最終的には「オープン・フラット・ハート」にまとまり、自分が理想とする組織像が詰まっていると実感しました。
組織内で情報格差が起きないようなオープンな仕組みとマインドを醸成すること。
役職は役割であって、上下関係や優劣をつけるものではないこと。
それぞれの役割を理解し合い、得手不得手も理解し合い、互いに補い合えること。
個性を尊重し、承認し合えること。
普段バラバラの場所で活動しているメンバーが対話を重ねて共通点を整理した結果のポジティブ・コア・カルチャーなので、きっと様々な組織にも転用できるのではないかと思っています。
今回はざっくりとしたご紹介となりましたが、「なかなか組織が活性化しない」「社員同士のコミュニケーションがうまくいかない」といったお悩みがある際は、対話型組織開発のアプローチを検討してみるのはいかがでしょうか?
当事務所で対応することもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
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宮治 有希乃
組織育成パートナー
ITベンチャーと人材ビジネス業界で11年間、組織人事・キャリア領域に取り組み、2018年に独立。現在は中小企業向けに、関係の質を高める組織育成プログラムを提供中。「関係の質」を高める「コミュニケーションスタイル診断」を活用し、研修やコンサルティングを通じて組織パフォーマンスの向上と健全な職場環境づくりを支援している。