ワークライフミックスが心地よい、元ワーカーホリック宮治の30代とは
2018年12月25日
カテゴリー: 自分史
「働くこと」や「仕事の価値観」といったキャリアに関することを記事にしていきたいという想いが芽生えてから、自分のキャリアについて振り返りたい欲がむくむくと湧いています。
普段なかなか自分のキャリアを振り返る機会もないので、この機会を活かして自分史上もっとも密度の濃かった30代を振り返ってまとめることにしました。
「宮治ってこんな30代を過ごしていたんだな」と、私を知っていただくきっかけになれば嬉しいです。
「働く力」を磨く筋トレ時代
私はかつて自他ともに認めるワーカーホリックでした。
30代前半の約5年間です。
元々仕事とプライベートを区切る習慣がない私にとって「ライフワークバランス」を意識した生活への魅力は皆無。
仕事中心の生活を自ら選択し、とにかく働くことに優先して生きていました。
当時、外資系の人材総合ビジネス会社の営業 兼 スタッフコンサルタントとして大型プロジェクトの立ち上げに参画していたこともあり、勤務時間は14~16時間超。
ほぼ毎日終電を逃しタクシーで帰ることがあたり前でした。
プライベートの時間といえば、日々起こる様々な課題を解決したい一心で、仕事の課題解決や自分自身の成長に繋がりそうなことを学ぶことが多かったです。
とにかく自分のキャパを広げたくて、できることを増やしたくて、毎日「働く力」を筋トレしているかのように鍛えていました。
睡眠よりも仕事。
食事よりも仕事。
恋愛よりも仕事。
通常業務も立て込みまくっていた時期に、どうしても札幌にキャリアコンサルティングの窓口を設置したくて、資格取得のために札幌から横浜まで毎週末通った半年間も懐かしい想い出です。
当時の働く原動力は責任感でした。
最大650人を超えるスタッフの雇用を守り続ける責任。
プロジェクトを安定運営し続ける責任。
そして、信頼して仕事を任せてくれた方の期待に応えたいという想い。
働くことを通じて、誰かの何かの役に立てることがあるという経験ができたことで、それまで自己肯定感が低くネガティブになりやすかった私が、はじめて自分の存在価値を感じられたのもこの時期でした。
▲2008年に半年間通った横浜のランドマークタワー。今でも横浜に行くと、当時のことを鮮明に思い出し、元気が出ます。GCDF-Japan キャリアカウンセラーの資格が取得でき、2009年からは産業カウンセラーとWライセンスになりました。
「働く力」を過剰に筋トレした結果
5年間、何の疑問を持つことなく突っ走ってきた私にストップをかけたのは、私の身体の変調でした。
片頭痛が収まらない。
めまいがする。
視界が狭くなる……。
はじめは「30代になると体力も落ちてくるのかなぁ」と、あまり深く考えていなかったのですが、明らかに体力が落ちてきました。
身体の不調をカバーしきれなくなる日々は「恐怖」としか表現できません。
「このまま突っ走って、40代、50代……と生きていけるのだろうか」
「このまま本格的に体調を崩してしまったら働くこともできなくなるのだろうか」
「そもそも体調を崩してまで働くってどんな価値や意味があるんだろうか」
恐怖とともにこんな想いに押しつぶされそうになっていた時、当時学んでいたNLP™のワークで、将来についてプレゼンする機会が重なりました。
このプレゼンでは「私はどんな未来を生きたいのか」じっくり掘り下げて考えましたが、まとめたプレゼン内容は自分でもビックリの「結婚して母のような女性になりたい」……驚!!
これまで結婚したいという気持ちが芽生えたことがなく本当に結婚願望皆無だったので、私にとって人生最大の驚愕な出来事です。
さらに驚愕なのが、このプレゼン後すぐに夫となる男性に出会い、誰もがビックリする速さで結婚したことでした。
そして、結婚を機に家事以外、働くことを休むと決めたのです。
自分の人生でも全く予想しない道を進んでいくこともあるのだと、ただただ新鮮な気持ちでいっぱいでした。
ただ、家事以外の働くことを休んだ私でしたが、家の中にいる生活は達成感を味わいづらく、早々に物足りなさを感じる結果となります。
家事は突き詰めれば突き詰めるほどやりがいがある仕事ですが、私は突き詰めるまでのめり込めなかったのです。
家庭以外で働くことで得られる楽しさや達成感、充実感。
そして「少しでも何か社会とつながっていたい」「役に立ちたい」という想いが忘れられず、結婚3か月後に再就職しました。
▲NLP™プラクティショナー講座の修了式。NLP™は、脳の仕組みに興味があって学びはじめました。約2年間、再受講したり、アシスタントに入ったりしながら継続学習することで、頑固な私も物事を柔軟に捉えられるようになれました。
「働く」とは何か
この再就職では、会社の仕事よりも家事を優先しようと決めていましたが、気づけば会社の仕事を優先した生活になっていました。
それでも「家事は手を抜かない」と決めていたので、自分のペースをつかむまでは、かなり精神的にきつかったです。
加えてずっと実家暮らしで、気ままな生活しかしてこなかったので、生活習慣や文化が全く違う人との共同生活に慣れることにも必死でした。
それでも何とかペースをつかんできたと思えてきた2017年のある日、再び私の身体がストップをかけてきました。
何の前兆も感じないまま、バセドウ病だと診断され、同時に巨大な子宮筋腫がみつかったのです。
全く無自覚だったので、人生2度目の驚愕です。
病気そのものが原因ではなく、薬の副作用で体調を崩したり、人生初の入院・手術なども経験し、必然的に働くスタンスを見直さざるを得ない出来事でした。
現在は治療のおかげで数か月に1回の定期健診だけで健康を取り戻すことができましたが、本来の体調を戻すには1年半ほどかかりました。
この病気になったのは、過去のワーカーホリックが原因だという人もいましたが、正確な原因は分かりません。
ただ、明らかに健康について無頓着すぎたのは事実なので、病気をきっかけに人生ではじめて健康を意識する生活にシフトしていきました。
そして、まだまだ先だと思っていた親の闘病と真剣に向き合う経験も重なり、自分の中の働くことの価値観や意味が変化してきています。
ずっと会社員として働くことにこだわっていた私が意図せずフリーランスに転向しても、それを受け入れられたのも働く価値観や働く意味が変化した結果です。
これは今も変化し続けていていますし、きっと生涯に渡って変化し続けるもの、変化し続けて良いものだと思っています。
「働く」って何だろう?
明確な答えがないテーマだからこそ、私自身も働くことに悩み、迷い、葛藤しています。
「キャリアコンサルタントなんだから、明確な答えを持っているよね?」とたまに厳しく詰められることもありますが……。
正直なところ、環境の変化や人との出会い、経験を通じて答えは変わると実感しているので、明確な答えはきっとこれからも持てないです。
そして私だけでなく、これまで7,200人以上の方との面談(2022年12月現在)を通じて、私と同じように「働く」ことに悩み、迷い、葛藤している人がたくさんいることも実感しています。
また、人材ビジネスの営業では「働く人」だけではなく「雇用する企業」も職場環境づくりや人事制度について悩んでいることを知りました。
その後、私自身が企業人事として働いた時には、実際に職場環境づくりの難しさに直面し、人事制度を作る大変さも経験しました。
正直、企業の立場で職場環境や人事制度に向き合うことは、想像以上に課題が山積みで、実際にその立場に立たなければ理解できないことばかりで葛藤だらけ。
大変な経験でしたが、様々な葛藤をしながら企業としての立場を経験できたことで、キャリアコンサルタントしての視野も広がったと感じています。
▲「健康」を意識した中で一番力を入れたのは食事の改善です。玄米と酵素を意識して摂るようにし、早食いを改善すべく、よく噛んで食べるよう心掛けて食べるようにしました。
「ワークライフミックス」が心地よい
波の大きかった30代を経た今、私には3つの願望があります。
●働くことで「何か役に立てる存在でいたい」という根っこの想いを叶えたい。 ●「健康はすべてではないけれど、健康を失うとすべてを失う」と、何回も聞いた言葉の意味をリアルに体感できた経験から、健康を意識した生活を送りたい。 ●家族(主に母親)と過ごす時間を増やしたい。趣味もとことん楽しみたい。 |
40代はこの3つの願望を叶えていけるような生活を送りたいと考えています。
きっとまた願望は変わっていくと思いますが、その都度自分と真剣に対話して「どんな人生を送りたいのか?」と自分に問い続けます。
大切なのは自己対話力を磨き続けることです。
そして明確にひとつ、30代の私が教えてくれたことがあります。
それは「私にとってワークとライフは切り離せない」ということ。
あくまでも私の場合になりますが「家に帰ったら仕事のことは考えない方がいいよ」と言われても、お風呂に入りながらの方が仕事のアイディアが浮かびやすいですし、料理を作りながら課題の解決策が浮かぶことも多いのです。
業務時間は仕事に集中していますが、例えば移動中に「ここのカフェ今度行ってみたい」とか、商談中に趣味の話で盛り上がって、気持ちが趣味に向いてしまうこともあるのです。
キャリアに関する仕事を始める前は「オン・オフを切り替えたい」という話を聞いた時、「オン・オフ」が「仕事・私生活」を指していると理解するまで時間がかかったこともあります。
私にとっての「オン・オフ」は「起きている・寝ているorだらけている」ということ。
そのため私の「オン」には、仕事も私生活も含まれるので、話がかみ合わなかったのです。
「ワークライフバランス」という言葉もしっくり来たことは一度もなく、30代のほとんどを「ワーク」中心で過ごしたことが楽しくて仕方なかったので、逆に「ライフ」とのバランスを取ろうと言われたら逆にストレスでしかありません。
健康重視で「ワーク」の比重を減らして体を休めながらも、頭は「ワーク」でいっぱいだったので「バランスって何?」という状況でした。
結局「働く私」も「プライベートの私」も「家庭の私」もどんな私も「私」なのです。
だからこそ私は「ワークライフバランス」よりも「ワークライフミックス」の方が心地よく感じています。
ミックスしたら何か新しいものが生まれそうで、わくわくしませんか?
私はとてもわくわくするので、これからも実践していきます。
ちなみに「ワークライフミックス」は「ワークライフインテグレーション」とほぼ同じ意味合いで使っている言葉です。
語彙力の問題ですが「インテグレーション」だとピンとこなくて、ワクワクもしないので「ワークライフミックス」が気に入っています。
「ワークライフミックスっていいね」と共感してくれる人がいたら、ぜひ語り合いたいです。
●プロフィール
●ReOS LABOの提供サービス
●お問い合わせ・お申し込み
宮治 有希乃
組織育成パートナー
ITベンチャーと人材ビジネス業界で11年間、組織人事・キャリア領域に取り組み、2018年に独立。現在は中小企業向けに、関係の質を高める組織育成プログラムを提供中。「関係の質」を高める「コミュニケーションスタイル診断」を活用し、研修やコンサルティングを通じて組織パフォーマンスの向上と健全な職場環境づくりを支援している。