【連載企画#52】パラレルキャリア

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この記事は、キャリアコンサルタントコミュニティ「キャリコンサロン」内で発足された「編集部」の【note週イチ投稿企画】で執筆した記事をベースに掲載しています。

パラレルキャリアとの出会い

私が「パラレルキャリア」という言葉に出会ったのは、ドラッカー読書会でした。

「本業を持ちながら、第二の活動をすること」と定義されていたと記憶しています。

でも私には腹落ち感がなかったので「同時に複数の活動をすること」と勝手に広く解釈しました。

当時の私は本業の中で「営業」「スタッフフォロー」「HRコンサルタント」「キャリアコンサルタント」「プロジェクトマネジメント」などの複数役割をどれも本業として担っていたからです。

辞令上のポジションは営業なので「営業が本業だ」と言われたこともありましたが、私にとってはどれも同じくらいの熱量で取り組んでいました。

本業か副業かの線引きは人それぞれ。

その時々で本業だと思っていたものが副業になることも、その逆もあります。

流動的に変化していくものに対して、わざわざ線引きして定義しなくても良いのではないかと考えています。

興味関心の幅が広く、ひとつのことに集中するよりは広く色々なことに取り組みたい性分の私にとって、パラレルキャリアはしっくりくる働き方で「私らしさ」のひとつです。

一方で、令和になってから「パラレルキャリアがあたり前」という空気感が色濃くなっていますが、私はあたり前だとは思っていません。

人によって合う合わないもあれば、あたり前の価値基準も十人十色。

決めつけることも決めつけられるのも好きではありません。

ただ「ちょっと興味ある」「やってみたい」という気持ちがあるのであれば、まずはやってみるのは大賛成!

やってみないと分からないこともありますしね。

そこで本記事では「こんなパラレルキャリアもあるよ」という事例紹介も兼ねて、私のパラレルキャリアの歴史を振り返ります。

何かひとつでもパラレルキャリアについて考えるきっかけになれば嬉しいです。

総合人材サービス会社時代

いわゆる派遣会社の営業をしていた30代前半。

辞令上のポジションは営業で、派遣スタッフが働く職場を開拓するのがメインの仕事でした。

ただ支店の規模が小さく同時にスタッフの調整やフォローも担当するワンフェイス対応だったため、この段階で営業とコーディネーターのパラレルキャリアが始まります。

そして2年目からはコールセンターのBPOプロジェクトが始まり、プロジェクト管理や運営、派遣営業とは違うソリューション営業も担当することになりました。

一口に「営業」といっても新規、ルート、アフターケア、ソリューションと経験できたのが貴重でしたし、それぞれの役割で求められるマインドやスキルが異なることを体感できたことが確実に糧となっています。

またスタッフの調整やフォローも同時に対応できたことで、クライアント・派遣スタッフ・自社社員・自社など、あらゆるステークホルダーの架け橋として事業と人間関係に向き合ってきました。

想像できないような価値観や他人の言動に出会うたび、力不足を痛感したり、傷ついたりゲンナリもしましたが、振り返ればすべてが血肉となり今に活きています。

他にも自分から立候補して、札幌にキャリア相談窓口を解説したり、自社のHRソリューションサービスを提案するコンサルタントとしても活動していました。

人生の中で一番長く、一番濃く仕事と向き合ってきた約6年。

手を広げすぎて欲張りすぎだと言われることもありましたが、妥協しなくてよかったなと振り返っています。

ITベンチャー時代

結婚後に入社したITベンチャーでは、仕事よりも家庭で過ごす時間を増やしたいと考え、「残業なし」「役職なし」の条件で働きはじめました。

当然お給料は減り、前職の1/3以下でしたが、お金<時間の優先度が高かったので、むしろありがたかったです。

ただ2か月くらい経って仕事に慣れてくると、日に日に働きたい気持ちが増してきたんですよね。

元々入社前の3か月に専業主婦を経験し「暇」「張り合いがない」「向いていない」と思っていたので、そもそも「家庭で過ごす時間を増やしたい」という希望自体がズレていたのかもしれません。

仕事もルーティンワークや指示された内容だけ対応することには飽きてしまっていました。

仕事内容は得意分野で好きなことなのに、どうも気持ちが上がらないのです。

自分で考えて取り組むことに慣れていたので、仕事のやり方が合っていなかったのだと思います。

そんな心境がダダ洩れだったのでしょう。

会社のフェーズ変更のタイミングとも重なり、入社半年後からは役職者としての仕事をするようになり、徐々に総合人材サービス会社時代のような働き方にシフトしていきました。

ワーカーホリックには戻らないと決めていたのに、やっぱり仕事が好きなんですよね、きっと。

最終的には、人事、総務、カスタマーセンター、IPO準備、IT営業など、名刺は人事だけどバックオフィス何でも屋(ただし財務経理は除く)的な立ち位置で幅広い業務を経験していました。

個人事業主の今

総合人材サービス会社とITベンチャーでの経験を土台に個人事業主として活動している今の私は、やはりパラレルキャリアを歩み続けています。

キャリアコンサルタントとして独立し、現在は組織人事コンサルタントと名乗って組織人事・キャリア領域の仕事をしていますが、実はそれだけではありません。

20代の頃にパソコンインストラクターをしていた経験を活かし、個人レッスンでOfficeソフトの個人レッスンをしたり、完全に趣味からの派生ですがイベント企画や運営も行っています。

今後はフードツーリズム事業も立ち上げたいので、まだまだパラレルの道は増えていきそうです。

自分の心が動いたことであれば、たとえ点が増えるばかりでも、いつかその点と点は繋がります。

パラレルキャリアは専門性がないと批判されることもありますが、本気で取り組んでいればそれぞれの分野で専門性が磨かれます。

「やってみたい」という気持ちが芽生えたのであれば、小さな一歩からでも前に進んでみませんか?

その一歩目の先には、きっと見たことがない世界が広がっていますよ。


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宮治 有希乃の写真

宮治 有希乃

組織育成パートナー

ITベンチャーと人材ビジネス業界で11年間、組織人事・キャリア領域に取り組み、2018年に独立。現在は中小企業向けに、関係の質を高める組織育成プログラムを提供中。「関係の質」を高める「コミュニケーションスタイル診断」を活用し、研修やコンサルティングを通じて組織パフォーマンスの向上と健全な職場環境づくりを支援している。

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