【宮治の自分史 #10】人材ビジネス業界編

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「こんな人生歩んできました」と自己紹介を兼ねてスタートした「宮治の自分史シリーズ」。

気づけば1年ぶりの更新となってしまいました。

可能な限り2021年のうちに残り8年分も書ききりたいと思いますので、気長にお待ちくださいませ。

ということで、連載10回目の今回は、30代で異業種転職をした「人材ビジネス業界編」をお届けいたします。

はじめてのオフィスに心躍る

大学卒業後、一貫してパソコンインストラクターとして仕事をしていた私は、2007年1月に30歳になるまであと2週間というタイミングで、外資系の人材総合ビジネス会社へ転職をしました。

当時の札幌では珍しかった高層ビルに移転したばかりの会社で、ドラマで見るようなオフィスで働けるだけでワクワクしたことを今でも鮮明に覚えています。

首からIDカードをぶら下げることも初めてでしたし、ビジネススーツを着て市内中心部に出勤するなんて夢のようで、まるで異次元に来たかのような感覚でした。

これまでパソコンスクールでしか働いたことがなかったので、「Theオフィス」というような場所で働くことが新鮮だったのです。

ドラマの世界が現実になった!

よほど憧れが強かったのか、どれだけ外勤で疲れて戻ってきてもビルに入ると不思議と背筋が伸びたんですよね。

「かっこいいビルで働く人にふさわしい自分でありたい」と思ったのかもしれません。

新規飛び込み営業の試練がやりがいに変わった日

私がこの会社にエントリーした時は派遣スタッフの方をフォローする職種を希望していましたが、結果的に営業職として入社をしました。

面接をしてくれた支店長から「うちの支店は小さな支店だから営業職で入社してもフォロワーの仕事も両方できるから」と説明を受け、両方やれるなら職種にはこだわりはなかったからです。

「新規の飛び込み営業はしなくていいし、ノルマもないから安心して」とも言われていたので、そこまで不安な気持ちもありませんでした。

むしろ「営業もフォロワーも両方できるなんて恵まれている!」とワクワクしていたものです。

ただ入社後2か月目にして、一気に不安と絶望に襲われる事態が私を襲ってきました。

これまでテレビCMなど打ち出していなかったのに、周年記念でCMが放送されることになり、新規顧客獲得キャンペーンが始まったのです。

支店メンバーはキャンペーン期間中にチラシを手渡しで渡しきるというミッションという名のノルマが課せられ、私も否応なしにチラシをもって新規飛び込み営業をせざるを得ない状況に追い込まれました。

面接時の約束もあったので、支店長は非常に気まずそうな様子でしたが、当時の支店メンバーで対応できるのは3名のみ。

とにかくやるしかありません。

これまでパソコンスクールでtoCビジネスしか経験がない私は右も左も分かりませんでしたが、腹を括るしかないと悟ったのです。

はじめは支店長に同行して一通りの流れを覚えるところからはじめ、5社目からは私がメインで話をし、8社目からは一人で訪問できるようになりました。

本当にド素人の私に新卒社員レベルの基本のキから教えてくれた支店長のおかげです。

それでも一人で訪問するようになってから最初の2週間は不安と恐怖で胃が痛みましたが、30社目を超えたあたりから、少しでも話を聞いてくださる方に感謝の気持ちが芽生え始め、立ち話でも楽しく会話ができるようになってきました。

こうなってくると不安と恐怖よりも楽しさが増してきます。

いつしか「チラシを渡さなきゃ」ではなく、「この会社はどんな会社なんだろう」「何かお役に立てることはないだろうか」と考えられるようにもなりました。

今振り返れば、営業としてはあたり前すぎる考えですが、当時の私にとってはこれが成長するための大きな一歩だったんですよね。

考え方が変わってからは応接室に通してくださって30分~1時間近くお話を聞いてくださる経営者の方もいらっしゃって、キャンペーン期間が終わる頃には、充実感でいっぱいでした。

私ひとりでは挫折していたと思いますが、支店長や先輩が親身にサポートしてくれたおかげでやり切れたと思っています。

本当にありがたい限りです。

このキャンペーンは私にとって試練でしかありませんでしたが、やり切ったことでやりがいを感じることができるようになり、派遣営業として働いていく自信に繋がる経験になりました。

▲節目節目でケーキやドーナツをみんなで食べるのがとても楽しみでした。普段頼めないような大きなホールケーキも食べることも多かったです。ご褒美スイーツは最高ですね!

3週間で135人採用する?!

派遣営業として2年目を迎えたばかりの冬、支店に大きなプロジェクトが舞い込んできました。

大型コールセンターの札幌立ち上げの案件で、全国各地から優秀な社員が出張で札幌に集結して対応するようなプロジェクトです。

当時の支店メンバーは事務スタッフを入れて4名。

この小さな支店にどうしてこんな大きなプロジェクトが来たのかは分かりませんが、私の仕事も一変しました。

まず取り組んだのはオープニングスタッフの採用です。

ざっくり言うと3週間で135名のオペレーターとを採用する必要があり、プラス管理スタッフの採用も必要でした。

これまで派遣営業と担当席のスタッフフォローしかしていないのに、どうしたらよいのか途方に暮れましたがやるしかありません。

こうして札幌の中でも人が集まらないことで有名なエリアに新設されるセンターにどうやって短期間で大量採用を実現したらよいか、悪戦苦闘の日々が始まりました。

正直このあたりの話は詳しく振り返りたいところでもあるのですが、当時の記憶がほとんど飛んでしまっています。

鬼のように残業し、仕事しかしてなかったことは覚えていますが、細かな記憶がないのです。

結論だけお伝えすると、無事に135名のオペレーターは採用でき、管理スタッフも充足してセンターをオープンすることはできました。

そこから約5年に渡り、毎月20名~最大80名の採用を続けていくことは夢にも思っていませんでしたが、どれも良い経験です。

採用だけではなく定着化の取り組みや提案営業やプロジェクト管理についても広く深く経験させていただくことができました。

全くの未経験で飛び込んだ業界ですが、元々興味のあった人の心や思考パターンや行動原理についての学習欲が爆発的に増加し、「学び×現場実践」を積み重ねる大切さを実感できたのもこの時期です。

▲このプロジェクトの功績を評価していただき、優秀社員賞をいただくことができました。ご褒美旅行で香港・マカオに行けたもの貴重で素敵な思い出です。関わってくださったすべての皆さんに心から感謝しています。

脱ワーカーホリックを目指して

派遣営業として1年、コールセンタープロジェクトに携わって5年半。

人材ビジネス業界では、人と仕事に恵まれて本当に充実した日々を過ごすことができました。

キャリアコンサルタントとしても札幌に相談窓口を開設したり、事業部の取り組みでHRコンサルタントとしてアセスメントツールのご提案なども経験させていただいたことは、何事にも代えがたい財産です。

この頃の私は自他ともに求めるワーカーホリックで、終電後に帰宅することがあたりまえ。

残業代はタクシー代に消え、後輩から「誕生日プレゼントは寝袋にしますか?!」と言われるほど、仕事に没頭していました。

とにかく仕事が楽しくて楽しくて仕方なかったのです。

ただ、立ち上げから携わっていたプロジェクトも成熟期を迎え、後輩も育ってきたことで手離れしたあたりから、身体に疲れを感じるようになりました。

おそらくずっと疲れていたのだと思いますが、仕事に没頭し過ぎていて気づかなかったというのが正しいのかもしれません。

「今のままのペースで働き続けたら、大病するかも」

漠然とですが、そんな不安が頭をよぎりました。

とはいえ、どうやってペースを落としたらよいのか分からず、モヤモヤした状態が半年ほど続くことになりますが、そんなタイミングの時に出会ったのが夫です。

そして結婚を決意した3日後に、なんと転勤の内示が出たんですよね。

人生何が起こるか、本当に分からないものです。

結婚願望ゼロの私が「結婚するから転勤できない」と言っても信じてもらえなかったのは笑い話ですが、きっかけがなければワーカーホリックは卒業できなかったので、流れに身を任せてみることにしました。

結婚が決まっていなかったら関東に引っ越していたので、今とは全く違う人生を歩んでいたと思います。

それはそれで面白そうな人生ですが、自分がした選択に後悔はありません。

ゆるゆる亀の歩みで書き進めてきた自分もようやく30代中頃まで到達しました。

次回は「結婚編」で結婚前の実家暮らしの様子や専業主婦期間(3か月)の想い中心に綴っていきます。

不定期更新になりますが、引き続きよろしくお願いいたします。


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宮治 有希乃の写真

宮治 有希乃

組織育成パートナー

ITベンチャーと人材ビジネス業界で11年間、組織人事・キャリア領域に取り組み、2018年に独立。現在は中小企業向けに、関係の質を高める組織育成プログラムを提供中。「関係の質」を高める「コミュニケーションスタイル診断」を活用し、研修やコンサルティングを通じて組織パフォーマンスの向上と健全な職場環境づくりを支援している。

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